
未回収の売掛金について、その債務承認を含んだ内容の契約に切り替える場合に利用できるのが、公証人によって作成する「公正証書」です。
公正証書は全国にある公証人役場で作成できます。
公正証書のメリット
債務承認の契約書であっても、訴訟を起こして勝訴しなければ効力を得ることはできません。
ただし、訴訟手続を行うには、費用(訴訟費用・弁護士費用)や時間が必要になるため、中には泣き寝入りしてしまう債権者も少なくないようです。
そこで公正証書を用いて債務承認の契約書を締結することによって、訴訟を起こさずに強制執行を行うことが可能です。
「執行証書」を得るためには
公正証書により強制執行をするためには、以下の要件を充足しなければなりません。
(1)公証人が作成した公正証書であること
(2)金銭などの支払いを目的としていること
(3)公正証書に、債務者がただちに強制執行に応じる旨の陳述が記載されていること(これを執行認諾文言と呼びます)
これらの要件を満たした公正証書を「執行証書」と呼びます。
そして裁判所の書記官に執行文を付与してもらい、執行開始と同時に相手方への送達および送達証明書を申請することで、強制執行を申し立てるための準備が完了します。
また、実際に訴訟や差押をしなくても、執行証書を送ることで心理的プレッシャーを相手に与えることができるため、確実な履行を確保しやすくなるという効果も得られます。
執行証書が用いられる場面
ただし公正証書(執行証書)と言っても契約書と変わらないので、作成には相手方の協力が必要です。
よって取引開始前や、支払いを猶予する条件として作成されることが多いです。
執行証書は、金銭の支払いの履行を確保する場面でのみ有効ですので、不動産の明け渡しや動産の引き渡しの強制執行については対象とすることができません。
そういった場合においてあらかじめ強制執行を可能としておくには、簡易裁判所による「即決和解手続」といった方法があります。
以上のように、公正証書は訴訟ほど手間がかからず、なおかつ確かな効力を持ちます。
より確実な回収を望む案件であれば、公正証書の利用を考えてみてはいかがでしょうか?

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