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契約書を公正証書にしておくことのメリット

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未回収の売掛金について、その債務承認を含んだ内容の契約に切り替える場合に利用できるのが公証人によって作成する「公正証書」です。全国にある公証人役場で作成できます。

公正証書のメリット

債務承認の契約書であっても、訴訟を提起して、勝訴判決を得られなければ何らの効力を得ることはできません。ただし、訴訟手続を行うには、費用(訴訟費用・弁護士費用)や時間が必要なため、中には泣き寝入りしてしまう債権者も少なくないようです。
そこで、公正証書によって、あらかじめ債務承認の契約書を締結することで、訴訟を行わずに強制執行を行えます。

執行証書の要件

公正証書により強制執行をするためには、以下の要件を充足しなければなりません。

(1)金銭の一定の額の支払いなどを目的とする債権について、公証人が作成した公正証書であること
(2)公正証書に、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されていること(執行認諾文言)

これらの要件を満たした公正証書を「執行証書」と呼び、裁判所の書記官に執行文を付与してもらい、あらかじめ執行開始と同時に相手方に送達の申請をすることで、相手方の資産に対して強制執行を申し立てることが可能となります。

なお、相手方への送達が要求されるのは、相手方に防御の機会を与えるためですが、不履行になっている場面では、相手方は行方不明になっているケースも多いので、送達は執行証書の作成と同時にしておくことが望ましいといえます。

また実際に訴訟、差押をしなくても、心理的プレッシャーを相手に与えることができるため「確実な履行を確保する」ことができるという効果も得られます。

執行証書が用いられる場面

公正証書といっても契約書と変わらないので、作成には相手の協力が必要です。取引開始前や、支払いを猶予する条件として作成する時に多く用いられます。

執行証書は、金銭の支払いの履行を確保する場面でのみ有効ですので、不動産の明渡しや動産の引渡しの強制執行については対象とすることができません。その場合には、あらかじめ強制執行を可能とするための手続きとしては、簡易裁判所による「即決和解手続」が考えられます。
より確実な回収を望む案件であれば、公正証書の利用を考えてみてはいかがでしょうか?

弁護士法人中央総合法律事所 / 弁護士 中村 健三

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